エンデ・ボイス「芸術と政治をめぐる対話」

◯芸術とは何か、という問いに対して何か統一的かつ包括的な答えが提出し得る、と僕は全く思わないが、それぞれの芸術家がどのように考えていたのか、という点には興味がある。
◯僕自身の考えとしては、「芸術とは何か」あるいは「芸術家とは何者か」という問いに意味はあまりなく、個々人がそれぞれの人間的行為の質を追求した結果、活躍することになった場が「芸術」と呼ばれるなら彼は「芸術家」であって、「蕎麦打ち」なら「蕎麦屋」である、とそのくらいのものである。つまり、ある人が、芸術を通して自身の人間的資質を発揮する場合、その人は芸術家なのだろう。芸術家を目指すに際して、「芸術家とはかくいうものである」という枠組みを設定して、そこに自分を落とし込んでいくという順序ではなく、むしろ逆のように思える。
◯ただ、誰もが括弧付きの芸術が専門とする領域で仕事ができるとは全く思わない。そして才能の選択の自由というものは存在しないように思う。

12/Jun/2018