詩人と鍵

だが彼が「カシワ」と言ったときーはっきりと、どうして?ー語は彼の内に留まる、役に立たなかった鍵が、手の中で重みを増すように。

                                    ーイヴ・ボヌフオア「再び矢の落ちるところ」

詩人が出会うものは、これこれの人でありものであり、同時に謎である。彼はその扉を開けようとしない。彼は知っている、一度開けてしまえば、ひょうと風は吹いて、部屋が空になってしまうだろうということを。手には鍵、語。

2020/04/12